海と街と音楽とVol.43 Arto Lindsay 曖昧な存在のしあわせ

Arto Lindsay / O Corpo Sutil(1996)

こんにちは。海と街との代表の加藤です。

今回は、アート・リンゼイ(Arto Lindsay)の曖昧な存在(O Corpo Sutil)をご紹介します。

私がアート・リンゼイを知ったのはジョン・ルーリー(John Lurie)のバンドだったラウンジ・リザーズ(The Lounge Lizards)で、このバンドは自らをフェイクジャズと名乗る、とんがったバンドでした。

ちなみにジョン・ルーリーというのはジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)監督のストレンジャー・ザン・パラダイス(Stranger Than Paradise)というモノクロ映画に主演していた人で、この映画は80年代に日本でカルト人気を誇ったからご存じの方もいるかもしれません。

話を戻すと、アート・リンゼイはそのラウンジ・リザースの前はDNAというニューヨークのノーウェーブを代表するバンドをやっていたんですね。ノーウェーブというのは商業的になりすぎたニューウェーブに対抗したより表現を追求した一派という意味で、つまりまあ、かなりとがっていたという訳です。

で、そのアート・リンゼイが「ふつう」のブラジル音楽をはじめたのが、この曖昧な存在(O Corpo Sutil)というアルバムでした。

DNAとかラウンジ・リザースとか聴いてきた人からすると「なんじゃ、このやわい音は!」となるんでしょうが、私はまったく違和感なくすっと入り込めました。この前のアンビシャス・ラバーズ(Ambitious Lovers)がだいぶポップになっていましたし。

アート・リンゼイはアメリカ生まれのブラジル育ちだそうで、ニューヨーカーが突然関係ないブラジル音楽をはじめたわけではなく、自分の中にあった「音」を素直に出しはじめたという事らしいです。

育ちというのは、そう簡単には変わらないもので、この多幸感からすると、アート・リンゼイはけっこうしあわせな幼年期を過ごしてきたのでは、と想像してしまいます。

Spotifyに曖昧な存在がなかったのでプライズ(Prize)を聴いてください。

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Kato Toshiaki/加藤才明
海と街と株式会社代表。コピーライター/クリエイティブディレクターとして企業の広告やプロモーションの企画・制作に携わってきたノウハウを地域振興へ応用し、持続可能なソーシャルビジネスを実践。海辺からの町おこしを標榜する一般社団法人海洋連盟の活動もサポートしている。

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